第08回 アルコール検知器義務化延期についてのあれこれ

第08回 アルコール検知器義務化延期についてのあれこれ

公開日:2022.10.19 / 最終更新日:2023.8.17

飲酒運転による悲惨な事故が繰り返されるばかりです。登校中の小学生が犠牲になったこともあり、事業者に対する酒気帯び運転のチェックが強化されています。ただ、2022年10月からのアルコール検知器義務化は延期になりました。その背景などを見ておきましょう。

2023年8月15日、警察庁は白ナンバー事業者に対するアルコール検知器の使用義務化規定を2023年12月1日から施行すると発表しました。

アルコール検知器義務化ってなに?

建設業を始めとする白ナンバーや、タクシー等の緑ナンバーの車を所有している企業に対して、アルコールを摂取しているかどうかを確認することが義務付けられていますが、アルコール検知器によるアルコールチェックも義務化される予定です。

法改正により2022年4月から、酒気帯び運転に当たるかどうかについて、運転前後の運転者に対して目視で確認をすること、及び酒気帯び確認後、その確認記録について1年間保存することが義務化されています。

しかし、酒気帯び運転かどうかを確認する際には、目視だけではなくアルコールチェックのための機械を導入して、アルコール濃度を検知することが必要です。

アルコール検知器義務化のポイントとは?

アルコール検知器義務化の大きなポイントは、「アルコールチェックとその記録」と「安全運転管理者業務の拡大」の2つがあります。

まず、施行後は運転者が酒気帯び状態でないかを目視とアルコール検知器によってダブルチェックすることと、その記録を一年間保存すること、さらに遠隔地で業務する場合は運転者にアルコール検知器を携帯させることが義務化されます。

安全運転管理者はこれまでの業務に加え、運転者にアルコール検知器の使い方を熟知させなければなりません。そのうえでアルコール検知器をしっかり管理・点検し、適切に運用することが求められます。

アルコール検知器義務化によるペナルティとは?

アルコール検知器義務化によって、施行後はアルコールチェックを怠ると「安全運転管理者の業務違反」と見なされます。違反した場合は安全運転管理者を解任させられるため、事業に支障をきたすことになります。

安全運転管理者の資格要件には「過去2年以内に解任命令を受けていない者、違反行為をしていない者」という要件があるので、解任後に資格を再取得するのは簡単ではありません。

安全運転管理者とは別に、飲酒運転を行った者に対しては、当然ながら道交法違反で処罰が下ります。そして同時に安全運転管理者や事業責任者に対しても、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性が出てきます。

また、義務化対象の事業者であるにもかかわらず、そもそも安全運転管理者を設けずにいるのも道交法違反とされ、罰金刑などが科されます。

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なんでアルコール検知器義務化が延期になったの?

もともとアルコール検知器使用の義務化は2022年10月から導入される予定でしたが、延期が決定しました。

その理由について、警察庁のパブリックコメントによれば「アルコール検知器の供給が間に合っていないから」とされています。

これは2020年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大や、経済摩擦、ウクライナ危機などの影響によって、世界的に半導体が不足していること、またそうした状況下で今回のアルコール検知器義務化のために検知器の一斉発注が行われていたことなどが背景にあります。

そのためアルコール検知器の使用義務化対象となっている事業者の手元に、そのアルコール検知器がまだ行き渡っていない状態にあるのです。

そして半導体不足とそれによるアルコール検知器の供給不足がいつ終わるのかの見通しは立っていません。そのため警察庁は、そのような状況で新制度を予定通り施行するのではなく、「当面延期」として様子を見ることにしたのです。

その後、2023年8月15日、警察庁はアルコール検知器の供給不足は解消したと判断したため、白ナンバー事業者に対するアルコール検知器の使用義務化規定を2023年12月1日から施行すると発表しました。

アルコール検知器が用意できなくても備えておくべきこととは?

緑ナンバー事業者だけでなく、白ナンバー事業者のアルコール検知器義務化が施行されることとなりました。今のところ、法律がいつ施行開始されるのか、具体的な日にちは発表されていません。

しかしその時に備えて、事業者はアルコール検知器を用意しなければなりません。アルコール検知器はさまざまなメーカーから販売されています。どれでもよいと言うわけではなく、呼気に含まれるアルコールを正しく検知し、数値できちんと示すことのできるものでなければなりません。

どういったものを何台購入するか、その場合に予算はどれくらいとなるかなどは既に決めておかなければなりません。とにかく十分な量のアルコール検知器を揃え、その使い方を従業員全員にしっかり理解・習得させることが必要です。

安全運転管理者は酒気帯びの確認方法を構築しておく必要があります。携帯型アルコール検知器などの運用も含め、あらかじめ運用方法を明確にする必要があります。記録するための管理システムは、費用は掛かりますが専用のものも用意されています。

アルコール検知器義務化延期について

既定の台数以上の自動車を所有する事業者は、酒気帯び有無の目視確認及び酒気帯び確認記録の1年間保存が義務付けられています。2022年10月からは目視に加え、アルコール検知器でのダブルチェックが義務化される予定でした。しかし、警察庁は義務化を当面延期すると発表しました。その理由で大きいのが新型コロナウイルス感染症の拡大です。これにより検知器に使われる半導体が入荷しなくなり、一度に大量の発注があったこともあり、アルコール検知器は入荷しなくなったのです。いつ入荷し始めるか分かりませんが、すでに機種選定や予算取りは終わっていなければなりません。そのうえで本格導入にあたり、従業員全員に情報共有や運用システムの構築をしておく必要があります。

その後、2023年8月15日、警察庁はアルコール検知器の供給不足は解消したと判断したため、白ナンバー事業者に対するアルコール検知器の使用義務化規定を2023年12月1日から施行すると発表しました。そのうえで本格導入にあたり、従業員全員に情報共有や運用システムの構築をしておく必要があります。

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